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〈命を救う数字と言葉 - 016〉

3万人

年間自殺者3万人時代、6割が50歳以上


 平成10年、年間の自殺者が3万人を超え、以後平成14年まで5年間、3万人台が続いている。平成14年の自殺者は、3万2143人、うち50歳以上が60.9%経営していた会社が倒産したりとか、リストラ問題などで悩んだあげくの自殺が増えている。

 「経済・生活問題」を苦にしての自殺が、8000人弱、全体の25%までを占めるようになった。警察庁が自殺者の統治を取り始めたのは昭和53年からで、この年は2万800人だった。

 以後増え続け、昭和61年いったんピークを迎え、2万5500人になり、減少に転じたのだが、平成7年から増加、いまや3万人時代になってしまった。

 しかし、これからは若い人たちの自殺が増えていく。すでにネット自殺者が相次いでいる。うつ病で自殺願望はあっても1人では行動にうつせない人たちが、インターネットを通じて知り合い、集団で自殺する。その昔1980年頃の「赤信号みんなで渡れば怖くない」…ビートたけしのギャグと理屈は変わらない。

 だからといって、インターネットを規制すればという単純な問題ではない。1人で悶々としていたうつ病患者が、ネットを通じて知り合った人にとことん悩みを打ち上げられたことで、自殺を思いとどまり、うつの症状もやわらいできたといった例もあるからだ。

 問題は、今の社会が孤独化を強いていることだろう。どんな悩みでも、じっくり聞いて理解してあげる人がいれば、成人の15人に1人は経験するといううつ病も自殺者も減るに違いない。

 そういえば中高年の自殺者にしても、そのほとんどは妻帯者だった。奥さんにも悩みを打ち明けられない。そういう結婚生活を送っていたということだ。高度成長期からバブルにかけて、みんな働きすぎだっただろう。家庭をかえりみることがなかった。だから気がついたら、底知れない孤独に落ちていったのだ。

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